マウント・ビンソンってどんな山?
マウント・ビンソンは南極大陸の内陸部に位置し、南極点まで約1,000kmの場所にあります。ひたすら氷河の世界が広がり、なだらかで、真っ白な見た目は壮麗で「山の女王」とも言える気品があります。天候が不安定なので、ブリザードなどの悪天候になると近づくことができません。夏場でも気温は-40℃の極寒の世界。
まず、南米チリの最南端・プンタアレーナスから飛行機で登山基地のユニオングレーシャー基地へ向かいます。ここは南極大陸にある唯一の民間ベースキャンプでコックや医師なども駐在しており、快適に過ごすことができます。
登頂ルート
ユニオングレーシャー基地から飛行機に乗ってベースキャンプへ。
ベースキャンプからは氷河上をソリをひきながら、クレバス対策としてアンザイレンして進みます。4時間ほど歩いて3,000mあたりにC1を設営します。C2までは緩い傾斜となりますが、C2を過ぎると急斜面が待っています。ソリはC2に置いて、この先はザックのみで登ります。ハイキャンプまでの道のりは雪崩の危険があるので要注意。ハイキャンプから頂上までの約5kmは、急傾斜と緩傾斜を繰り返しながら登っていきます。最後に現れる岩と氷の稜線には特に注意が必要です。
登山のポイントと必要なトレーニング
セブンサミッツのなかでは、体力的にも技術的にも、比較的やさしい山ですが、なんといっても南極大陸。問題は気温…。極寒地での装備の扱いに習熟することが大事です。特に金属類の扱いとピーボトル(尿便)の利用にも慣れる必要があります。また、終始雪稜歩行となりますので、冬山でしっかりと行動できるようにしておくことが大切です。また、天候の変化でブリザードになるとキャンプ地から動けなくなることがあるので、それに耐えられるように十分に装備しておかなければなりません。
山岳ガイド・倉岡裕之氏のワンポイントアドバイス
南緯78度。南極大陸の内陸部に位置しているのでアプローチが大変。山はミニチュア版デナリといった感じだが、より極地を感じ取ることができる。純粋に寒く美しい。
1961年生まれ。
日本人初の世界七大陸最高峰ガイディング。
エベレスト登頂回数は8 回を誇り、日本人最多記録を保有している。
日本人では数少ない海外高峰登山ガイドとして活躍中。
日本山岳ガイド協会登攀ガイド。
http://www.hiro-kuraoka.com/
- ポイント
- 日本からの必要日数=13-22日間
- すべてテント泊
- 単純に寒い!カメラのバッテリーがやられるのはここビンソンくらい
- 物が濡れない
- トイレの場所もキャンプ地のみと限定されている
- 飛行機待ちが長いこともある(ペンギンコロニーやパタゴニアトレッキングに行くチャンス!)
- おすすめトレーニングメニュー
- 2−3日間のテント泊縦走登山
- 八ヶ岳など寒冷地でのフィックスロープ通過トレーニング
- 冬の北海道などでの装備チェックもオススメ
DAC登頂隊が行ったトレーニング
有酸素運動
高山病対策には有酸素運動が効果的。それぞれ、ランニングやウォーキングで訓練。エレベーターやエスカレーターを使わない、重い荷物を持って行動するなど、日常的でのトレーニングも意識しました。
日々の食生活
今日の食事が明日の自分を作ることを意識して、栄養を考えた食事を摂取するように心がけました。
登山訓練
五竜岳(2泊3日)
実際の雪山登山を想定し、「テント泊に慣れる」「重い荷物に慣れる」「コミュニケーションを深める」「自炊をする」ことを目的として実施。アイゼンを履いての歩き方やパッキングの技術、軽量の工夫などもガイドさんから指導していただきました。
八ヶ岳(2泊3日)
雪上テント泊の訓練。テント場の設営と撤収を練習しました。また、雪を溶かして水をつくり、飲み水の確保をしたり、自炊もしました。
谷川岳(2泊3日)・甲斐駒ケ岳(2泊3日)
雪山を歩く練習、フィックスロープの使い方訓練などを実践で学びました。
雲取山(2泊3日)
標高は低めの山(2017m)ですが、アタックを意識して、脚力を鍛えることを目的に500mくらいの高さから常に登り続けるトレーニングをしました。
低酸素トレーニング
高所テストを行ったミウラドルフィンズにて。初回4,000mの設定から出発が近づくにつれて500mずつ5,000mまで高度を上げていきます。低酸素ルームで運動をしたり、仮眠をとったりして自分の傾向を知り、順応させていきます。
トレーニングの様子は
ブログでさらに詳しくご紹介しています!
是非ご覧ください