エルブルスってどんな山?
エルブルスは黒海とカスピ海の間に横たわっているコーカサス山脈にある山で、ロシア連邦のカバルダ・バルカル共和国の南に位置しています。標高は5,642m。周辺の山々より1,000m以上高く、なだらかで美しい山容は遠くの街からでも眺めることができます。麓のアザウ駅からロープウェイとリフトで3,800mのガラパシ小屋まで気軽に行けるため、観光客やスキーヤーたちで賑わっています。周辺のアザウ谷やバクサン谷には高山植物が咲き乱れ、氷河の景色と相まって美しい景観をおりなします。
DAC登頂隊が辿ったルート
エルブルスに登頂するのはガラパシ小屋から1日で往復するのが普通です。アプローチ短縮のためにガラパシ小屋から雪上車の運行もあり、パスツーコフ岩付近まで連れて行ってくれます。高度順応のため、となりのアザウからチェゲット山に登ったり、アタックまでの時間をガラパシ小屋を基点として、パスツーコフ岩や11番小屋までの往復をしたりして過ごしました。
登山のポイントと必要なトレーニング
エルブルスは技術的な難しさはあまりなく、アイゼン、ピッケルの基本的技術をマスターしていれば問題ありません。ベースとなるガラパシ小屋からは日帰りでの往復になるため、体力は必要です。一番難しいのは天候判断です。エルブルスは黒海の影響を強く受け、内陸にありながら天候が目まぐるしく変化するので注意が必要です。急な悪天候のため、ホワイトアウトに見舞われることもあります。広々とした雪原ゆえに、上下左右がわからなくなりルートを外し、遭難するといった例もあります。
ここでは、セブンサミッツのガイドを務めてくださっている倉岡裕之さんからのワンポイントアドバイスと実際にDAC登頂隊が行ったトレーニングの様子をご紹介します。
山岳ガイド・倉岡裕之氏のワンポイントアドバイス
巨大な双耳峰の火山。地形が単調で天候が急変しやすいことから気象遭難が多発する。ロープウェイと雪上車を使った効率の良い高度順応ができる。
1961年生まれ。
日本人初の世界七大陸最高峰ガイディング。
エベレスト登頂回数は8 回を誇り、日本人最多記録を保有している。
日本人では数少ない海外高峰登山ガイドとして活躍中。
日本山岳ガイド協会登攀ガイド。
http://www.hiro-kuraoka.com/
- ポイント
- アタックは山小屋から1日(全行程15日間前後)
- キャンプの必要はないためテント生活はない
- 天候の変化が激しいので予備日があれば心強い
- 要ピッケル、アイゼン
- 気温:-15度くらい
- 旧ソ連、グルジア国境という場所柄、登山以外では自由に行動できないこともある
- おすすめトレーニングメニュー
- 2-山小屋泊の冬山登山
DAC登頂隊が行ったトレーニング
高所テスト
高山病は個人差が大きいので、まずその個人差を調べてからトレーニングに入ります。
有酸素運動
高山病対策には有酸素運動も効果的。それぞれ、ランニングやウォーキングで訓練。徒歩で通勤したり、DAC本社が入居しているビル13階・14階まで階段で登ったり、時にはダッシュで駆け上がったりと、日頃から足を鍛える運動も取り入れました。
登山訓練
雪上訓練 金峰山(2泊3日)
①雪上歩行訓練(アイゼン・ピッケルを使用)、②寒さ体験、③装備の確認、④倉岡ガイドの経験談を聞く…などを目的として行いました。
1日目・瑞牆山、2日目・権現岳
清里を拠点に2日連続の日帰り登山。①アイゼン・ピッケルワーク、②山における体力トレーニングを中心に訓練しました。
槍ヶ岳登頂(2泊3日)
難易度の高い槍ヶ岳に10時間の目標を持って登頂。
北八ヶ岳縦走(2泊3日)
体力アップのトレーニング、エルブルス登頂の前の最終の装備チェックなどを行いました。
低酸素トレーニング
高所テストを行ったミウラドルフィンズにて。初回4000mの設定から出発が近づくにつれて500mずつ高度を上げていきます。低酸素ルームで運動をしたり、仮眠をとったりして自分の傾向を知り、順応させていきます。
トレーニングの様子は
ブログでさらに詳しくご紹介しています!
是非ご覧ください